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テクノプラザ 座談会 DIAMOND 300を語る。 1

座談会 DIAMOND 300を語る。

泉和人写真

司会:泉 和人 氏
Profile
1965年に東京大学工学部産業機械工学科を卒業後、大日本印刷株式会社へ入社。包装開発部課長、技術本部部長などを歴任し、1999年に退社。現在は、印刷技術コンサルタント、日本印刷技術協会客員研究員、国際印刷大学校客員教授などとして活躍。

[主な著書]

  • 「世界のオフ輪最新事情」
    (2001年 日本印刷新聞社)
  • 「新・印刷機械入門」
    (2001年 印刷学会出版部)
  • 「5年後の印刷産業」
    (2002年 日本印刷新聞社)
  • 「04ドルッパの新技術と今後の展望」
    (2004年 日本印刷新聞社)
藤本次長写真

印刷機械技術部
藤本次長

平田主席技師写真

工作部
平田主席技師

坂本社員写真

工作部 枚葉機組立課 技術係
坂本社員

内山邦彦氏写真

内山 邦彦 氏
Profile
デザイン造形集団DESIGN ANNEXを率い、医療、通信機器をはじめとするインダストリアルデザインから、スポーツシューズなどのファッションデザインまで、幅広い分野で活躍。

  • 日本デザイン学会会員
  • KAN-NO-KAI 会員
  • エスペランサ靴学院
    デザイン科 講師
  • (財)伝統的工芸品産業振興協会指定
    伝統的工芸品産地
    プロデューサー
望月主任写真

印刷機械技術部
枚葉機設計課 Bチーム

望月主任

八木課長写真

印刷機械技術部 枚葉機設計課
八木課長

生産性を極めるもうひとつの道、「休まない機械」。

司会 DIAMOND 300は、三菱の枚葉印刷機としては7年ぶりのモデルチェンジと言うことですね。それだけにユーザーの方々には待ちに待った機械だったしょうし、国内外の競合メーカーを含めて業界の注目や反響も大きかったと思います。私もIGAS2007の会場で初めて実機を拝見させていただいたのですが「これが三菱の印刷機?!」と新鮮な驚きがありました。予想を良い意味で裏切られたというか、従来のイメージを覆す大胆なモデルチェンジだったと思いますが、今回の開発に当たってはやはり何年も前からプロジェクトチームを組んで力を注がれたのでしょうか?

藤本 基本的に私たちはいつも次世代機をにらんで何かしらの模索を続けているのですが、本格的な立ち上がりはdrupa2004の直後からでしょうか。開発のコンセプトというか方向性が見えたのがdrupa2004だったと思います。枚葉印刷機はこれまでずっと高速化の歴史を辿ってきました。そうした中で当社は印刷スピードについてはライバルに絶対負けるなという方針があって、毎時1万枚から1万1,000、1万3,000、1万5,000、1万6,000枚とつねにトップを切ってきました。drupa2004でも各メーカーは高速化で勝負してきましたよね。その時にふと「お客様が置き去りになっていないか」と感じたんです。私たちが次に作る機械もスピードを競うだけでいいのか、お客様が本当に求めていることは高速化なのか、と思ったんです。

平田 お客様が求めているのは、いかに効率よく仕事をこなしていけるかという「生産性」だと思うんですね。高速化はそのための手段のひとつに過ぎません。確かに大量印刷であれば印刷スピードが速いということは大きなメリットになります。しかし実際を見ると、国内のほとんどのお客様は小ロット対応で毎日ご苦労なさっています。そうした現状を踏まえた時に生産性を高めるもうひとつの方向性として、印刷準備やメンテナンスなどすべてを含めた「停止時間の短縮」というコンセプトが浮かび上がってきたわけです。

司会 なるほど。印刷スピードをアップして印刷時間を短くするのではなく、機械が仕事をしていない時間を短くしようという逆転の発想ですね。

平田 その通りです。お客様の現場へ実際に足を運んで調べてみると、機械が回っていない時間が思っていた以上に多かったので驚きました。準備時間や段取り時間だけでなく、メンテナンス、版待ちの時間…。印刷したいけど機械の調子が悪くて回せないとか、印刷したけど返品されて来てしまうとか。実状を目の当たりにして「印刷準備がスピーディーになりました、はい、キレイに刷れるでしょ」という単純なことでは済まされないなと感じました。もちろんそうしたことも不要だとは言いませんが、半年、1年というロングランで動かした時にこれまでよりも“休まずに仕事ができる”――稼働率の高い機械こそ、お客様が求めているものなのではないかと思いました。

モデルチェンジのために集めた、1,300のアイディア

司会 本当の意味での“稼げる”機械、お客様に貢献する機械というわけですね。三菱はこれまでにもインキプリセットや紙サイズ・印圧のプリセット、刷版交換、圧胴洗浄などを世界に先駆けて自動化して、省力化や生産性の向上にかなり力を入れてこられたと思うのですが、DIAMOND 300では新たにどのようなアプローチをなさっているのでしょうか。

平田 まず、お客様やサービスセンターを対象にリサーチを行って、改善ポイントを徹底的に洗い出しました。やはり「段取りの容易化」「使い勝手の向上」に対するリクエストが多かったですね。それから開発に関わる社内の全部署・全スタッフに号令をかけてアイデアを募りました。「アイデアを出さんヤツは枚葉機の船から降りてくれ!」と相当厳しくハッパをかけまして、結果的には述べ1,300件ぐらいのアイデアが集まりました。それらを重要性・実現性というところで吟味して約260件まで絞り込みました。

司会 これまで以上にたくさんのアイデアが詰まっているということですね。新たに開発したシステムなどはあるのでしょうか?


図1-1:片面8色機の全自動版交換 時間比較

藤本 自動化の延長ということで「サイマル・チェンジャー(全自動全色同時版交換装置)」(図1-1、1-2)を開発しました。drupa2004において発表した同位相版交換装置と全自動の刷版のローディング装置をミックスすることで、版交換の全自動化を実現したシステムです。4色機であろうと8色機であろうと全ユニット同時に、旧版の排出から新版の取り付けまでをわずか44秒で完了できるというのが大きな特長です。

司会 完全に同時に「版交換」を行えるんですか?

藤本 はい、完全に同時です。競合メーカーでも「全色同時」を謳っているシステムがありますが、実際は何秒かの微妙なズレがあるようです。またダイレクトドライブを採用している競合メーカーもありますが、当社は従来の機構を利用した極力シンプルなものを追求しました。構造を複雑にするとメンテナンスも面倒になりますし、トラブルが分散化する原因にもなりますから。

坂本 サイマル・チェンジャーは、IGAS2007でもDIAMOND 300とタンデムパーフェクターの両機でデモを行いました。私が担当したのはDIAMOND 300は4色機だったので「全色同時」の効果がきちんと伝わるか心配していたのですが、ご覧いただいたお客様からはとても良い反応をいただきました。


図1-2:サイマル・チェンジャー システムフロー図

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司会 三菱は色調管理の部分でもかなり積極的に省力化に取り組まれていると思うのですが。たとえば新聞や商業用オフ輪ではインライン品質制御システムを発表なさっていますよね。そういったところで新しくなったところはありますか?

藤本 オプションとして「DIAMOND Color Navigator(カラナビ)」(図2)を用意しています。

司会 デモを拝見しましたが、タッチパネルのみの操作で非常に使いやすそうでしたね。

藤本 感覚的なタッチコントロールで色調整が容易に行えます。リモコンデスクの隣に上下2つのタッチモニタを配したオペレーションスタンドを配置して、オペレータは上部モニターに表示された絵柄情報を見ながら、下部モニターからタッチ操作で「インキ濃度の増減」や「カラーバランス」を指示することができます。もちろんインキキーはありますが、インキキー操作を意識せずに色合わせが可能になります。

司会 まさにスキルレス化を狙っているわけですね。印刷産業もじっくり時間をかけてオペレータを養成している時代ではないと思います。即戦力にするためにはスキルレスを目指さなければならないですから、とても頼りになるシステムですね。

平田 私たちも最初はスキルレスということで評価していただけるかなと思っていたんです。ところが実際に使っていただくとベテランの方でも余裕ができるので色合わせがより精緻に行えるとか、予想外にうれしい結果が出ました。枚葉印刷機の場合、新聞や商業用オフ輪に比べてより高い印刷品質が要求されますから、自動色合わせといっても技術的なハードルは格段に高くなります。そういう意味でカラナビがいまのところは品質&省力化のバランスが最も取れていると思います。

坂本 面白いことに、カラナビのおかげで立会い刷り出しがスムーズになったという話も聞きました。たとえばクライアントから「色味をもう少しこうして欲しい」とリクエストが出ますね。そういう時に「指で画面をなぞるだけで簡単に操作できますから、やってみませんか」とクライアントご自身に操作していただくわけです。実際にやっていただくと「ここが限界だ」ということが実感できるので、すぐに納得してもらえるというんですね。

司会 それは面白いですね。あまりクライアントにいじられても逆に困ってしまうのでしょうけれど。インターフェースの世界を変えることで現場としては大きな効率化につながっていますね。


図2:DIAMOND Color Navigator

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